蠍は留守です考

蠍の輪郭を見つめてふける思惟の痕跡

20170509013806

アクセシビリティ:Let's reach out to users!

目黒にある Opera Japan のブレイクルームで行われたアクセシビリティ:Let's reach out to users!に参加した。ブラウザベンダーとしてのお話なので、そういった側面が大きい内容だった。

話された内容

具体例として挙げられたビデオのアクセシビリティの例は、先日のアクセシビリティフォーラムで聞いたお話に近いものだった。動画にキャプションや手話を付ける必要性だとか、動画の再生速度を変更できるようになればいいだとか、音声にもコントラストが必要だとか、etc。

その中で「手話ができる人にとっては文字を読むより手話を見るほうが理解が早い」というお話があったけれど、手話を理解しない人の割合を考えるとテキストに勝るソースはないような気がする。テキストであれば比較的低コストで用意できるし、メタデータとしてインデックス付けをすることもでき、可能性も広がる。両方あれば本当はよいのだろうが。*1

スタンフォードの例が挙げられ、キャプションが自動で付くけれど精度は低いという話が出た。確か、先日のアクセシビリティ・フォーラムではマサチューセッツ工科大学とYouTubeの自動翻訳の例が挙げられていたと思う。キャプションにしても翻訳にしても、どんどん自動化の技術が進んでゆくのだろう。

著作権の話も出たが、先日のアクセシビリティ・フォーラムでも同じ話題が出て、ボストン公共放送局の方が説明をされていた。米国のテレビ放送ではキャプションが義務化されているので、アクセシビリティ担保のためのキャプションは問題がないとされているようだが、弁護士次第という話も出た。どこで聞いても出る話なので、わりかしそれが現実なのかもしれない。*2

他にもcanvas(HTML5で策定中の新しい要素)やSVG(Scalable Vector Graphics:XMLによって記述されたベクターグラフィック言語)のお話が出た。SVGなんて使ったこともないし正直よくわかってないのにSVGのお話が妙に身近に感じてしまうワケは、毎月毎月SVG職人のありがたいお話を聞いているせいだと思う。

最後の方にアクセシビリティとSEOの関係についてのお話が出た。アクセシビリティを真剣に考える方々の中では、SEOに対してよくない印象を持っている方もいる。ただ、上司や組織を説得する際に「SEOに効果的」という言葉を乗せるだけで(やっぱり)予算が取りやすくなるという現実も(結局)あるようで、あまり敬遠せず利用すればいいのかなぁなんて思ったりもした。

 

*1:※1月21日・後日追記1:終わったあとみんなでご飯を食べている時、チャールズ・マクシネヴィルさん(Charles McCathieNevile : Opera Chief Standards Officer)と手話のことについてお話した。やはり言語としての手話の文法解釈や、手話に必要な表情を盛り込むことの難しさが挙がった。同じ英語圏でも米国とオーストラリアの手話では全く通じないそうだし、むしろ日本の手話の方が米国の手話に近いそうだ。TVMLをもっと高度化してウェブに適用するとか、果てしなく先の未来のお話みたいに感じる。

*2:※1月21日・後日追記2:著作権に関して、21日に securecat さんと neotag さんが盛り上がっていた。neotagさんが #mez 関連のログを Togetter にまとめてくれているので、興味のある方はそちらを。

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